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2008年06月24日

Ep#07 「 歪む世界 : 序  Do You Love ME? Piece1/3」

アル
「 よ〜お!ケイトぉ〜。」
ケイト
「 ハ〜イ、アル。いらっしゃい。」
ドアを開けケイトの店へ入ってきたアルを迎え入れたケイト。
アル
「 何だぁ!?今日は客が居ねぇじゃねぇか。」
アルが気付くと、店内には客が一人も居なかった。
ケイト
「 お昼時過ぎたらこんなモノよ。」
アル
「 へ〜ぇ、そうなんだ。」
ケイト
「 これだからシロウトはイヤよね。」
アル
「 !、
 ああその通り!‘ この街 ’の工場労働者の俺は飲食業界のシロウトだよ!」
ケイト
「 いいから出入口にいつまでも立ってないで自分の席に座りなさいよ!」
アル
「 どっこらせっと。」
自分の専用カウンター席に座ったアル。
カウンターの中で立っているケイトと目線の高さが一緒にならないアル。
アルは常にケイトを少し見上げ、
ケイトは常にアルを少し見下ろしている。
ケイト
「 注文はいつもの?」
アル
「 いや、今日は別なモノを頼むよ。」
ケイト
「 え?」
アル
「 今日のオーダーは、、君だ、ケイト。」
ケイト
「 ハハハハハハハ!そう言う事言うお客さんよく居るのよねぇ〜。でも、ざ〜ん念。
 メニューにあたしは載ってないわ。」
アル
「 そうか、そいつは残念だな。」
うつ向いたアル。
「 腹の底から喰いたいと思っているのに。。。」
そう言ってゆっくりと顔を上げたアル。
ケイト
「 ! 」
アルの顔が今迄見た事が無い表情に成っていた事にたじろいだケイト。
ケイトを少し見上げ、彼女の事を獲物が如く見据えるアルの両目。
カウンターに右手を付き左手を付き、右足を乗せ左足を乗せ、
ヒトではない別なイキモノのような動きでカウンターを越え、
その中に居るケイトの前に立ったアル。
アルに恐怖し、カウンターの中から続く厨房へと走ったケイト。
ゆっくりと歩きケイトを追うアル。
厨房の中央に在る調理台から包丁を右手に持ちアルに向けたケイト。
ゆっくりと厨房へと入ってきて、
包丁を自分に向けているケイトを見ても何ら動じる事のないアル。
ケイトの真向かいに立ち右手の人差し指を立て右から左へゆっくりと動かし、
着ている工場の青いつなぎのジッパーを右手でゆっくりと下げ、
上半身部分を脱ぎそのカラダを曝け出したアル。
つなぎの上半身部分は脱皮をしたイキモノの皮のように成りアルの腰の辺りにある。
アル
「 ケイト、今オマエが持っている包丁をオレの自慢の、
 この工場労働者の腹に突き刺してみろ。
 さあ、来いよ。」
自慢のその大きな腹を両手でまさぐりながらケイトにそう言ったアル。
対峙するケイトとアル。
右手だけで持っていた包丁を両手で持ち、
みぞおちの辺りに密着させアルに向かって走り出したケイト。
ケイトの体がぶつかるも微動だにしないアル。
包丁を刺した手応えが感じられずアルの腹へとゆっくりと視線を下ろしたケイト。
「 ! 」
ケイトの目に飛び込んできたのは、
何百本ものキバが生えている大きな口がアルの腹に出現し、
包丁を噛み攻撃を防御しているさまだった。
◇ケイトの回想 あの刻(とき)◇
キース
「 こいつ、これでも脱ぐと凄いんです。」
その、おぞましきモノを目の当たりにしアルから後ずさるも、
調理台にぶつかり動きが止まったケイト。
アル
「 ケイト、コレが本当のオレの姿だ。」
不気味な笑みを浮かべるアル。
ケイト
「 ! 」
◇ケイトの回想 あの刻(とき)◇
アル
「 ……きみは、本当の俺を知らない。。。」
ケイト
「 …。」
腹の口から右手で包丁を取りケイトへ向けて投げたアル。
包丁はケイトの左側をかすめ壁に突き刺さった。
恐怖のあまり動く事が出来ないケイトへと一歩また一歩と近付いて行くアル。
ケイト
「 ! 」
ケイトを調理台へと押し付けたアル。
今、自分の上に居るアルを恐怖に慄きながら見つめているケイト。
◇ケイトの回想 あの刻(とき)◇
アル
「 大丈夫かケイトっ!!
 俺の下敷きになって圧死なんかしてないだろーなっ!!」
アル
「 いいねぇ、
 俺の下敷きになって恐ろしくて声も出せず、
 恐怖に満ちた眼でオレを見ている、その顔。」
ケイト
「 …! 」
明らかにあの時とは違うアルが今ケイトの体の上に居る。
アル
「 いただきます。」
ケイト
「 あ"ーーーーーっ!!! 」
アルの腹の口に腹部を喰い千切られた激痛に、悲鳴と涙が同時に出たケイト。
アル
「 YAMYAM!旨い旨い!」
ケイトの体内から流れ出た血が調理台を真っ赤に染めていく。
調理台の端から滴り落ちるケイトの血。
ケイトの体の上で四つん這いになり、
腹と顔二つの口で彼女の体を貪り喰うアル。
遠退く意識の中でアルに喰われる事が快感に変わってきているケイト。
アル
「 オレはケイトを喰ってる。ウォーーーーッ!!!」
腹の口でケイトを喰らいながら右手に彼女の肉を持ち、
ケイトの血で口の周りを赤く染めた顔を天へと向け雄叫びを上げているアル。
「 、、ト!ケイト!ケイトっ!」
男の声、そして体を揺すられて眼を開けたケイト。
ケイト
「 …ビル! 」
今、ケイトの眼の前にあるビルの顔。
ビル
「 ひどくうなされてたけど。」
ケイト
「 ビル! 」
ビルに抱きつくケイト。
ケイトを抱きしめるビル。
ベッドで抱き合う二人。
ビル
「 悪い夢でも見たのかい?」
ケイト
「 ええ。ひどくリアリティーがあって恐ろしかったわ。 」
ビル
「 大丈夫。それは夢だよ。それは夢だ。現実じゃない。」
ケイト
「 そうよね。 」
ビル
「 起きる時間にはちょっと早いけど、また寝たら起きられなくなりそうだから、
 僕はもう起きるよ。」
そう言うとケイトとのハグを解き一人ベッドを出たビル。
ケイト
「 ごめんなさい。」
ベッドの横にあるタンスを開け既に着替え始めているビルにそう言ったケイト。
ビル
「 謝る事なんかないよ。
 月曜の朝は恒例の会議で遅刻するワケにいかないから。こうなって好都合だよ。」
ケイト
「 貴方の休日にあわせてゆっくり会えればいいんだけど。」
ビル
「 気にしないで。君の事は理解してるつもりだよ、これでも。
 この後はぐっすり眠って体を休めてよ。
 仕事が終ったら君の店に夕食を食べに行くよ。」
ケイト
「 ええ、待ってるわ。 I’ll catch you later.」

Ep#07
「 歪む世界 : 序  Do You Love ME? Piece 1/2 」

自分のベッドの上で,
アルの大きなお腹の上にちょこんと乗っかっているパジャマ姿のエミリー。
「 あなた、だ〜れ〜ぇ?」
アル
「 TO〜TO〜ROぉ〜。」
エミリー
「 TOTORO。あなたTOTOROっていうのね!」
アル
「 はは。こないだみた『TOTORO』おもしろかったか?」
エミリー
「 うん!」
アル
「 コウからもらったPIKACHUのぬいぐるみを、
 セシリーが持ってたTOTOROのぬいぐるみと交換してもらっちゃってからにぃ〜。
 お気に入りだなぁ、え〜、エミリー。」
エミリー
「 TOTORO。」
そう言うと、アルに甘えてその大きなお腹に寝そべったエミリー。
アル
「 とうさんはTOTOROみたいにからだじゅうけむくじゃらじゃないぞ。
 、、ま、ママじゃない奴って言われるよりはいいけど。」
エミリー
「 えほんよんで。」
アル
「 はいはい。
 、、 、、すると、てんしがいいました。。」
両手で持っている絵本を上げると、
自分のお腹の上で既に眠りについているエミリーの姿が視界に入ってきたアル。
「 いっつも此処で寝ちまってるな、え〜、エミリー。」
自分のお腹の上に居たエミリーをベッドに寝かせ毛布を掛け、
愛おしくその寝顔を見ているアル。
「 エミリー、また、あした。See Ya Later.」
そう言ってエミリーの前髪を右手で優しく上げおでこにおやすみのキスをしたアル。
大きなTOTOROのぬいぐるみと一緒に眠っているエミリー。

「 できたー!」
スケッチブックを高々と上げたエミリー。
「 どれどれ?」
座っていた豪華なソファーからエミリーへと駆け寄り、
スケッチブックを覗き込んだクリスティー。
「 ちょっとー、
 これのどこがあたしなのお?それに母さんだってこんなんじゃないわよ!全然似てない。
 こんな絵描くなら、我がマッグレガー邸(ウチ)にお絵描きしに来るの禁止ぃ〜っ。」
「 むぅー!」
と、クリスティーに向け口を尖らせたエミリー。
エミリー
「 むぅーん・ぷりずむ・ぱわー・めいく・あっぷ!
 つきにかわって、おっしおきよー!」
クリスティー
「 ハニー・フラーッシュ!」
お互いが今とってものお気に入りであり、闘うヒロインである、
セーラー服美少女戦士と愛の戦士の変身シーンを真似て、
臨戦態勢に入ったエミリーとクリスティー。
ジャクリーン
「 やめなさい。」
クリスティー
「 かあさん。だってあたし達の事こんなふうに描いてるのよ。」
座っていた豪華なソファーからクリスティーのもとへと来て、
二人が戦闘に入るのを阻止した母・ジャクリーンに対して、
エミリーが描いた自分達の絵の下手っぷりを訴えたクリスティー。
ジャクリーン
「 や〜、かわいい♪」
エミリーのスケッチブックを覗き込み少女のような声を上げたジャクリーン。
「 ねぇエミリーちゃん、クリスティーが言った事なんか全然気にしなくていいからね。
 おばさんね、エミリーちゃんが描く絵も、おばさんの事を描いてくれるのも、
 とってもとってもだ〜い好きなの。
 あなたには絵を描く才能があるわ。おばさんには判る。
 だから、いつでも我がマッグレガー邸(ウチ)にお絵描きしに来てね。
 あたしとクリスティーの絵をいっぱいいっぱい描いてちょうだい。
 他人だったあたしとクリスティーが養子縁組で母子(おやこ)に成った証を、
 法律上だけでなく、心と心が繋がっている家族という証を、
 エミリーちゃん、あなたに描いてほしいの。」
しゃがんで、エミリーと目線を合わせ、
彼女の小さい両手を両の手で優しく握り締めながら言ったジャクリーン。
クリスティー
「 …母さん。。。」
エミリー
「 エミリー、おばさんとクリスティーのえをいっぱいいっぱいかいちゃいまーす!」
クレヨンを持った左手を高々と上げ、マッグレガー邸の中心で描画を叫んだエミリー。
ジャクリーン
「 わ〜、ありがとー♪」
エミリーの叫びに歓喜し彼女を抱きしめたジャクリーン。
ジャクリーン
「 今度エミリーちゃんの絵に文句を言ったらわたしが、クリスティーあなたの事を、
 エミリーちゃんにかわって、おっ仕置きよー!」
と、セーラー服美少女戦士の決めポーズを決めクリスティーにそう言ったジャクリーン。
そのジャクリーンの言動に唖然としているクリスティー。
「 ・・・か、母さん。。今きっと何かを台無しにしたわ。。。」
ウェイバー宅の軒先で、
ボウルに入った食べモノを食している我輩なネコであるマスター・カリン。
HILOTHGHIショッピング・モールの駐車場で、
自分の車の後部座席にダンボール箱を入れ、ドアの鍵を閉め、
空のカートを押して建物へと戻るアル。
HILOTHGHIショッピング・モール内の、
噴水広場のベンチに座っているフランクとクラリス。
「 フランク〜っ。」
自分の事を呼ぶアルの声がした方を向いたフランク。
5m程先の方から手を振りながら歩いて来るアルを発見し、
ベンチから立ちアルへ向かって走り出したフランク。
「 GAMELAおじさ〜んっ!」
走って来たフランクを、片膝をつきその大きな体全体で受け止めたアル。
「 よぉ〜フランクぅ〜!」
クラリス
「 ハ〜イ、アル。」
アル
「 よぉ〜、クラリス。」
フランクとアルのもとへと来たクラリスと挨拶を交わし、
フランクと手をつなぎ立ち上がったアル。
立ち上がったアルの姿を足元から顔へとなめるように見たクラリス。
アル
「 ポロシャツにチノパン姿が、何か?」
クラリス
「 え?ああ、そんな格好初めて見たから。」
アル
「 ロシカ母子(おやこ)の買い物のお付き合いをさせて頂くんだ、いつもみたいに
ジャージってワケにはいかないさね。」
フランク
「 はやくいこうよ〜!」
手をつないでいるアルの太い腕を大きく前後に振ったフランク。
アル
「 何だぁフランクぅ、パチモンのGAMERA人形を買ってもらうのか〜ぁっ?」
フランク
「 ちがうよ〜だっ。きょうはふくをかってもらうんだも〜ん。」
皮肉混じりのアルの問いにそう答えたフランク。
XYZマーケット・HILOTHGHIショッピング・モール店・子供服売り場で、
あれこれ服を選んでいるフランク。
「 これがいい〜っ!」
アル
「 んんにゃっ!これがいいのだ。」
クラリス
「 予算オーバーよ二人とも。さっきからもう!予算内でちゃんと選んでよ!」
フランク
「 む〜うっ!」
口を尖らせアルを見上げたフランク。
アル
「 おっおー!おれのせいじゃないってばよ!
 口を尖らせて、
 〔 けっ!GAMELAおじさんって、ぜ〜ん然役に立たないやっ!>って眼で俺を見るな!」
自分の身長の半分にも満たない所にあるフランクの顔へそう言い放ったアル。
フランク
「 あ〜っ、おなかすいたぁ〜。おかあさんどこいったんだろぉ?」
アル
「 クラリスは、
  ぜったいりょういき
 なばしょにいってんだよ。」
噴水広場のベンチに仲良く座りクラリスを待っているフランクとアル。
力無く放ったフランクの疑問に自らの記憶で答えたアル。
フランク
「 ぜったいりょういき?」
アル
「 ああ、おとこがふみこめないばしょだ。
 フランク、
 おんなはなぁ、おとこがふみこめない
  ぜったいりょういき がある
 しんぴなイキモノなんだよ。
 そのことをなぁ、
 おまえのはいいろののうさいぼうないのきおくりょういきに、
 あらたなるにんしきとしてきおくしろ。
 あ、べんぴなイキモノじゃないぞ。」
フランク
「 ふ〜ん。なんかむずかしくてよくわかんないや。あっ、
 さっきぼくのこえまねしたけど、にてなかったよ。」
アル
「 おっおー、じかんをまきもどすようなこというな。
 よけいにおなかがへるだろぉぉがぁ"。」
力無く言ったアル。
「 フランク、
 おれは、フランクよりもからだがおおきいからそのぶんおなかがへるんだよ。」
アルの腹を見たフランク。
「 いつもとおんなじだよ。おおきいまんまだよ。ぜんぜんへってないよ。」
アル
「 そーゆーことじゃない。
 みためはかわってなくてもおなかのなかはへってるんだよ。」
フランク
「 なんでたべにいかなかったの〜。」
アル
「 それはな〜、
 おひるどきをはずしたほうが、おきゃくさんがへってすくからだよ。」
クラリス
「 お待たせ。」
お腹が空いたフランクとアルの前に現れたクラリス。
フランク
「 あ、おかあさんだ。」
アル
「 あ、クラリスだ。」
HILOTHGHIショッピング・モール内フード・エリアの、
とあるファミリーレストランの窓際のテーブル席に座り食事をしているロシカ母子(おやこ)とアル。
アル
「 昼時過ぎてもそれほど空いてなかったな。」
クラリス
「 休日だからね。でも待たずに入れたし窓際に座れたからいいじゃない。」
フランク
「 おかあさん ぜったいりょういきなばしょ にいってたの?」
アルの隣で窓側に座って食事をしながら、
真向かいに座っているクラリスに問うたフランク。
クラリス
「  ぜったいりょういきなばしょ?」
アル
「 ああ、男が踏み込めない場所、即ち、
 下着と生理用品を買いに行ってた事は、
 マルッとお見通しなんだよクラリス。」
クラリス
「 フランクの前でしかもこんな所でそんな事口に出さないで!」
アル
「 我がウェイバー家(ウチ)は平気で俺の前で言うぞ。」
クラリス
「 それは女の子同士だからでしょ!ロシカ家(ウチ)とは事情が違うわよ。
 アル、あなた、娘さん達がそんな事言った時どんな気持ち?」
アル
「 、、困っちゃいます。」
クラリス
「 でしょ。今のあたしがそうよ。」
アル
「 、、ごめん、クラリス。
 、、フランク、おんなのひとに ぜったいりょうい のはなしはしちゃだめだぞ。
 きずつけちゃうからな。おれみたいにならないようにいまいったことを、
 おまえのはいいろののうさいぼうないのきおくりょういきに、
 あらたなるにんしきとしてきおくしろ。」
フランク
「 うん。」
フランクとアルのやりとりを見ているクラリス。
「 解ってくれればいいのよ、アル。」
アル
「 すまなかった。
 、、なあクラリス、」
クラリス
「 なあに?」
アル
「 この店に居る他人(ひと)達には俺達の事どう見えてんのかな?」
クラリス
「 親子に見えてるんじゃない。」
アル
「 だよな。」
少し落ち込んでいたがクラリスの返答で笑みが戻ったアル。
「 !、
 アル!?」
飲食店からビルと共に出てきて、向かいに在るファミリーレストランの窓越しに、
アルとロシカ母子(おやこ)の姿を発見したケイト。
ビル
「 どうかした?」
ケイト
「 え?別に。」
ビル
「 じゃ行こうか。」
ケイト
「 ええ。」
ビルと共にその場を立ち去ったケイト。
「 デニース・フランッツの新しいCDいいよねぇデイジー。
 特に、♪I’ll Be Waiting 4 U♪がサイコーだよねぇ! 」
CDショップの窓際に設置されている試聴機で隣で一緒に試聴しているデイジーに、
目を閉じてリズムに乗りノリノリの状態で同意を求めたエレノア。
「 どうしたの?」
無反応でいるデイジーに、目を開けヘッドフォンを外して問うたエレノア。
デイジー
「 怪獣親父。。。」
エレノア
「 え?あらホントだ。一緒に居る女の人と男の子は誰?」
デイジーの視線の先に居る、
通りの向こう側を歩くアルとロシカ母子(おやこ)を視界に入れたエレノア。
フランクを真ん中にして、
右側には手を繋いだクラリスが、左側には手を繋いだアルが。
三人とも笑顔で歩いている。
アルの左手は新しく買ったフランクの服が入っている袋を持っている。
デイジー
「 ………。」
ヘッドフォンを外し手に持ちアルを見据えているデイジー。
民営の駐車場に車を停め下車したロシカ母子(おやこ)とアル。
アル
「 こんなとこ初めて来たよ。ショッピングモールとは違って地味なとこだな。」
クラリス
「 地味 って。。
 落ち着いた趣きのストリートでしょ。
 このストリートにはショッピングモールで買えないモノが買えるお店があるのよ。」
「 !、
 父さん。。。」
アンティークな佇まいの店の窓際の席で本を読んでいる途中ふと外を見ると、
通りの向こう側をフランクを肩車しクラリスと並び楽しそうに歩いているアルの姿が、
視界に入ってきたセシリー。
「 ………。」
三人の姿が見えなくなるまで眼で追ったセシリー。
「 待てぇーーっ!」
その声に反応し振り返ると、
こちらに向かい走る黒人少年とそれを追う東洋人の老人男性の姿が視界に入ったアル。
「 ! 」
肩車していたフランクを下ろしたアル。
「 クラリス、フランクを。」
フランク
「 どうしたの?GAMELAおじさん。」
アル
「 クラリスと一緒に下がってろフランク。」
フランクと手を繋ぎアルから離れたクラリス。
走ってきた黒人少年がアルの脇を走り抜けようとした瞬間、
彼に蟹挟みを決めたアル。
黒人少年
「 うわぁぁ!」
倒れる黒人少年。
地べたに倒した彼の首元を左膝で押さえ付け、
両腕を後手にし左手でその両の小指を強く握ったアル。
「 おとなしくしてりゃ小指をへし折らないでおいてやる。」
そう言って、右手で黒人少年が着ていたフード付きパーカーを捲り、
ジーンズと腰の間に隠してあった拳銃を見つけそれを右手で取り上げたアル。
黒人少年
「 放せ白デブっ! 」
アル
「 俺はデブじゃない。
 体が大きいうえに太くて大量の筋肉をまとっていて、
 お肉厚で分厚いだけだ。」
「 はぁはぁ、、、あんた、、ありがとう。 」
やっと追い付き息を切らせながらアルに話しかけた東洋人の老人男性。
「 あんた、あれかい、何か武道でもやってたのかい? 」
アル
「 ああ、まあね。
 それよりおやじさん、無理しちゃいけないよ。こいつ、こんなモノ持ってたんだぜ。」
取り上げた拳銃を東洋人の老人男性に見せたアル。
東洋人の老人男性
「 う!HANDGUN! 」
アル
「 玩具だけどな。」
東洋人の老人男性
「 、、そ、そうだよ!本物じゃないの判ってたから追っかけたんだよ。」
アル
「 そいつはどうも。」
東洋人の老人男性の言い訳めいた返答に呆れながら玩具の
拳銃を自分のチノパンと腰の間に入れたアル。
「 立つんだ。」
後手にした両の小指を左手で強く握りながら、
黒人少年を立ち上がらせがら自らも立ち上がったアル。
「 コヤツをどうするね?おやじさん。」
東洋人の老人男性
「 まずは万引きしたCDを返してもらう!」
そう言うと黒人少年のパーカーのポケットから数枚のCDを抜き取った東洋人の老人男性。
アル
「 CD!?」
東洋人の老人男性
「 何だ、万引きされたモノがCDじゃ不服か!貴金属類を盗まれりゃ満足か!」
アル
「 いやそういう意味じゃ。失礼。」
東洋人の老人男性
「 さあ小僧、警察へ行くぞ!警察とな、その後行く刑務所でニガぁ〜い思いをしろ!」
黒人少年
「 ぐっ! 」
アル
「 おやじさん、コヤツの事俺に任せてもらえないだろうか。悪いようにはしない。」
東洋人の老人男性
「 はあ!?」
アルの顔を見る東洋人の老人男性。
真剣な顔で東洋人の老人男性を見ているアル。
東洋人の老人男性
「 …もしまたこいつがワシの店で万引きなんかしやがったら、
 あんたのそのデカい腹を玩具じゃない銃で撃ち抜いてやる。
 それでいいか!」
アル
「 ああ、構わんよ。そん時ゃぁ、44マグナムかショットガンをお奨めするぜ。
 でなきゃ俺のこの工場労働者の腹は撃ち抜けない。」
東洋人の老人男性
「 …。
 あんた名前は?」
アル
「 アル・ウェイバー。」
東洋人の老人男性
「 アル・ウェイバー。覚えたぞ。」
アル
「 コヤツにもう悪事はさせない。この腹に誓う。」
真剣な眼(まなこ)で東洋人の老人男性を見ながら己の腹を軽く叩いたアル。
東洋人の老人男性
「 …。
 この白いデブのお陰で命拾いしたな小僧。」
視線をアルから移し黒人少年にそう言い残しその場を去った東洋人の老人男性。
黒人少年
「 けっ!コリアンが! 」
アル
「 来い!」
後手にした両の小指を左手で強く握りながら、
黒人少年を人目のない建物と建物の間に強引に連れ去ったアル。
フランク
「 …。」
クラリス
「 …。」
その場に取り残されたロシカ母子(おやこ)。
左手で黒人少年の首を軽く絞め背中を建物の壁に押し付けたアル。
黒人少年
「 うっ!」
アル
「 万引きは初めてか?万引きは犯罪だぞ。おまえは犯罪者に成りたいのか?
 どっかのストリート・ギャングに入ってんのか?」
黒人少年
「     」
答えぬ黒人少年。
アル
「 聞いてるんだ。答えろ!」
黒人少年
「 、、く、苦しく答えられない。」
アル
「 ! 」
黒人少年の首を軽く絞めている左手を少し緩めたアル
「 さぁ答えろ!」
黒人少年
「 初めてだしギャングには入ってないよ。」
アル
「 ドラッグは?」
黒人少年
「 やってない。」
アル
「 見せてみろ。」
パーカーの袖を捲り両腕をアルに見せた黒人少年。その両腕に注射の跡は無い。
アル
「 よし。」
黒人少年
「 一体アンタ何モノだ?」
アル
「 ‘ この街 ’のただの工場労働者だ。」
黒人少年
「 ただの工場労働者がこんな事していいのかよ?」
アル
「 さぁてどうかな?
 だから、通報されないようにこうやって人目の無い所に来てるんだよ。」
黒人少年
「 俺が通報してやる、訴えてやる!」
アル
「 ああやるがいいさ。だがなぁ裁判で勝つのはこの俺だ。闘わなくても判る。
 その理由は、俺が正しい事をしているからだ。陪審員達にはその事が解るんだよ。」
黒人少年
「 何でこんな事するんだよ?」
アル
「 俺はおまえみたいな奴を見ると放っておけなくなるんだよ。」
黒人少年
「 ! 」
右手で黒人少年の左腕を優しくつかみ、
左手を彼の首から放して右腕を優しくつかみ話し続けるアル。
「 いい眼をしているな。それに度胸も有る。
 しかし残念ながら、その度胸の使い方を間違ってはいるがな。
 少年、歳はいくつだ?」
黒人少年
「 15。」
アル
「 俺の一番上の娘と同じだ。学校は?」
黒人少年
「 行ってない。」
アル
「 そうか。。
 人は誰にでも事情ってモノが在る。少年も事情が在ってそうなってるんだろう?
 少年にとってこの世の中が生き難いならそれは、
 先に生まれた俺や俺よりも先に生まれた大人達がこんな世の中にしちまった処為だ。
 その事は俺が謝る。すまない。
 でもだからって、少年、おまえが墜ちる必要なんて何処にも無い!
 現在(いま)を見るだけで哀しむのやめて、光に導かれ飛翔(と)んでみろ。
 未来と闘え!!」
黒人少年
「 !
 、、、オレに、出来るかな?」
アル
「 出来るさ!心の翼を広げろ。
 空だって翔べる。
 人生の半分をもう生きちまった中年の俺がそう信じてるんだ。
 俺よりも背が低くて体重だって半分以下の、
 人生の半分もまだ生きてない、少年、おまえが信じないでどうする?
 どうしても信じられないなら、
 少年、おまえを信じる俺を信じろ。
 そうすればもし仮に失敗しても、俺を恨めば済む。
 自分自身を責めなくて済む。」
お互いの顔を真剣に見ている黒人少年とアル。
アル
「 ‘ この街 ’には、
 『 全ての子供達に平等に教育を 』を理念にしているザイウォン学園ってのが在る、、」
◇アルの回想 あの刻(とき)◇
受話器から聞こえてくるクラリスの声
「 ザイウォン学園の創設者が自分の娘をこの国に留学させてた時に、
 同じ歳の、教育を受けられない環境に居る子に殺害されたの。
 未成年の犯罪の要因に、
 ‘教育を受けられない事’
 を、確信した彼は全ての子供達が教育を受けられるように、
 ザイウォン学園を創ったの。 」
アル
「 、、其所へ行って教育を受けるんだ。知識を身に付けろ。
 学校じゃ教えてくれない事は、
 周りに居る、少年よりも先に生まれた人達から学ばせてもらえ。
 良い事も、悪い事も。
 良い事は真似をして悪い事は決して真似をするな。」
真剣な眼差しでアルを見ている黒人少年。
アル
「 YOU can change YOUR Destiny
闇の向こう
 YOU can change YOUR Future 
現在(いま)の向こう
 Beliving a sign of  Ζ =@beyond the hard times from Now
Ζ ≠フサインを信じてこの過酷な時を越えて行け
 BLACK TO THE FUTURE!
黒人少年よ未来へ行け!」
黒人少年
「 ・・・・・。
 『 BACK TO THE FUTURE 』だろーが!」
アル
「 ん〜ん、そうとも言うな。これでいいのだ。」
黒人少年
「 オレは、たった今何かを台無しにしたアンタの事なんか信じない。」
アル
「 …。」
真剣な眼差しで黒人少年を見ているアル。
黒人少年
「 オレは、、アンタの事を信じるオレを信じる。」
アル
「 上出来だ。じゃあな。」
その場を立ち去るアル。アルの大きな後姿を見送る黒人少年。
「 アンタみたいな人、初めてだよ。。。」
さっき居た所から然程遠くない所に在る公園の、
大きな木の下に在るベンチに座っているフランクとクラリス。
アル
「 此処に居たのか。ちこっと探しちまったよ。」
二人の前に現れたアル。
フランク
「 GAMELAおじさん!」
クラリス
「 アル!
 ごめんなさい。何も言わずに此処へ来てしまって。」
アル
「 いやこっちこそすまない。ほったらかしにしちまって。」
クラリス
「 あんな事いつもしてるの?」
アル
「 いや、‘ この街 ’に来てからは初めてだよ。」
クラリス
「 ……。そう。」
アルの返答に引っ掛かるモノがあるも問う事はしなかったクラリス。
ロシカ母子(おやこ)が暮らすアパートメントのドア前に居る、
クラリスとフランクそしてアル。
アル
「 今日はありがとう。楽しかったよ。」
クラリス
「 こちらこそ、ありがとう。」
フランク
「 GAMELAおじさん、まだいっしょにいたい。」
泣きそうな顔でアルにそう言ったフランク。
アル
「 …。」
そんなフランクを見つめているアル。
クラリス
「 わがままいっちゃだめよフランク。」
アル
「 ……。よぉ〜し、まだいっしょにいるぞフランク!」
フランク
「 yattaaaaa!」
クラリス
「 いいの?アル。」
アル
「 たまにはいいさ。
 怒られるのは俺、否、俺が居ない事できゃつ等に俺の有り難みが解るだろうて。」
クラリス
「 …。」
ダイニングテーブルの上に並んでいる、クラリスが作りし料理。
「 いただきます。」
食べる前の言葉を発した三人。
アル
「 パクっとな。もぐもぐ。YAMMY!おいしー!」
フランク
「 しょっぱい。。」
アル
「 しょっぱいことなんかないじゃないかぁ、おいしいじゃないかぁ、フランクぅ。」
自分の隣に座るフランクにそう言ったアル。
フランク
「 GAMELAおじさんがいると、おかあさんがつくるりょうりはどうして、
 しょっぱかったり、からかったり、にがかったりするの〜?」
自分の向かいに座るクラリスにそう言ったフランク。
クラリス
「 ごめんねフランク。」
「 ごちそうさまでした。」
食べた後の言葉を発した三人。
アル
「 ふぅ、満腹満腹。我が腹も喜こんどりますぞぉ〜、クラリスぅ。」
クラリスに向け満腹な腹を叩いて見せたアル。
クラリス
「 どういたしまして。」
アル
「 そうだ!
 お腹がいっぱいに成ると何故幸せな気持ちに成るのかお二方に教えてさしあげよう。」
フランク
「 どうしてなの?GAMELAおじさん。」
アルに注目するクラリスとフランク。
アル
「 先ず、
 食べる事は生きる事であり生きる事は食べる事である。
 満腹に成ると生きている事を実感出来、幸福が満ち満福に成る。
 それゆえに幸せな気持ちに成るのでAL。」
フランク
「 ふ〜ん。」
アル
「 なんだあ〜あぁ"!?うっすいリアクションだなぁフランクぅ。
 、、はぁ、認めたくないものだな、若さゆえの無認識というモノを。」
フランク
「 そんなことより、GAMELAおじさんってじぶんでじぶんのおちんちんみれる?」
アル
「 みっ!みれますよ。、、
 、、かがみで。。。」
フランク
「 ちがうよ!こーやってじぶんでじぶんのおちんちんみれるっ?」
椅子の上に立ち顔を下げ自分の股間を見たフランク。
クラリス
「 座りなさいフランク!」
クラリスに注意され椅子に座ったフランク。
アル
「 そ、そういうふうにしたときは、、、
 みれません。。。」
フランク
「 やっぱり!おなかがじゃまでみれないんでしょ?」
アル
「 は、はい。。。」
図星を言われ若干凹んだアル。
フランク
「 はは!PHAT(ファット)おじさんとおんなじだ!」
喜ぶフランク。
「 GAMELAおじさんのおなかさわらせて。」
アル
「 は、はい。。。ど、どうぞおさわりください。。。」
椅子から立ち上がりフランクに腹をつき出したアル。
フランク
「 おなかだしてよ!」
アル
「 ナ、ナマでさわるんですか?、、、どうぞ。」
ポロシャツを捲り腹を出したアル。それを触ったフランク。
「 かた〜い!
 PHAT(ファット)おじさんみたいにプニョプニョしてないからきもちよくない!
 VERY BELLYじゃない!」
アル
「 なんだと!PHAT(ファット)おじさんにこんなことができるかぁ!」
そうフランクに言い放ち着ていたポロシャツを脱ぎ捨てたアル。
「 いいか、
 そのりょうがんかっぴらいてまばたきもせずによぉぉくみてろよっ!」
バルク・アップした大胸筋をフランクに向け誇らしげに上下に動かしたアル。
フランク
「 うわぁー!おちちがピクピク動いてるーぅ!」
アル
「 おどろくのはまだはやいっ!」
フランク
「 うわぁー!こんどはおTITTIESがみぎとひだりでべつべつにうごいてるーぅ!」
バルク・アップした大胸筋をフランクに向け更に誇らしげに、
左右交互に上下に動かしているアル。
「 It’s My FLEXING BIG PECS!
 俺の、踊る大胸筋だーーぁ!」
フランク
「 うわぁー!おもしろーい!さわらせてー。」
アル
「 あぁあ、さわるがいいさね。」
フランクを椅子の上に立たせ己の踊る大胸筋を触らせたアル。
フランク
「 はは!ピクピクしておもしろーい!」
アル
「 PEC父さんと呼べ!」
フランク
「 ぺク・トーサンっていうおなまえのコリアンのおともだちがようちえんにいるから、
 いっしょになっちゃうよ。」
アル
「 ・・・そ、そうか。。。
 だが・しかしー、フランク、まだだまだおわらんよ。」
フランク
「 うわぁー!ポパイみたいーい!」
フランクに向け更に更に誇らしげに力こぶを見せつけたアル。
「 さぁあ、ぶらさがるがいい。」
己の太い右腕の力こぶにフランクをぶら提げたアル。
フランク
「 ははは!おもしろーい!」
アル
「 クラリス、君もぶら提がってくれよ。」
クラリス
「 え?」
アル
「 お願いだよ。」
少し恥ずかし気にアルの太い左腕の力こぶにぶら提がったクラリス。
アル
「 どおだぁぁっ!!
 〜♪二つの腕のぉぉ 膨らみはっ こんな事出来るぅぅ 証拠なのっ!♪」
ロシカ母子(おやこ)を太い両腕の大きな力こぶにぶら提げて叫び、
鼻ヲ歌を歌ったアル。
台所で食器洗いを追え水道の蛇口を元に戻したクラリス。
「 ! 」
その耳にうるさ過ぎるアルのイビキが入ってきた。
リビングにあるソファーで眠るアル。その腹の上で眠るフランク。
両の手で両の耳を押さえながら二人の姿を見ているクラリス。
「 ふふ、まるでTOTOROとメイちゃんね。あ!メイちゃんは女の子だった。」
アル
「 、、んん、眠っちまった。。クラリス!」
目覚めると上から見ているクラリスの顔が視界に入ったアル。
クラリス
「 ハーイ、アル。」
アル
「 やぁ、クラリス。フランクの奴、
 〔 PHAT(ファット)おじさんみたいにきもちよくない!
   VERY BELLYじゃない!>
 なんて俺の腹の事をぬかしやがったくせに俺の腹の上ですやすやと眠っちまったよ。
 可愛い奴だ。」
クラリス
「 WOTA.tv( ダブリュー・オー・ティー・エー・ドットト・ティー・ビィー )で、
 『 TOTORO 』を観た所為だと思うわ。」
アル
「 我がウェイバー家(ウチ)も『 TOTORO 』を観てから、
 エミリーが俺の腹の上で寝付くようになったよ。」
クラリス
「 そう。、、あれ?
 さっきのもしかしてフランクの声真似?似てない。」
アル
「 ふん!」
クラリス
「 あなたが似てるのはTOTOROよ。」
アル
「 俺はあんなに毛むくじゃらじゃない!」
フランクをベッドに寝かせたアル。
その隣で見ているクラリス。
アル
「 おやすみフランク。」
眠っているフランクのおでこにおやすみのキスをしたアル。
クラリス
「 おやすみフランク。」
アルに次ぎ眠っているフランクのおでこにおやすみのキスをしたクラリス。
フランクの部屋から出てきたクラリスとアル。
クラリス
「 ねぇ、アル。」
アル
「 ん?」
クラリス
「 あたしも、お腹触っていいかしら?」
少し恥ずかしげに訊いたクラリス。
アル
「 ふふ。いいよ。」
ポロシャツを捲り腹を出したアル。それを触ったクラリス。
「 硬い。
 PHAT(ファット)おじさんみたいにプニョプニョしてないから気持ち良くない。」
アル
「 流石親子。同じ事言いやがるんだな。
 縦割れ腹筋のこの俺の工場労働者の腹を見て触ったうえにそんな事ぬかすとは、
 片腹痛いわぁ"!」
少し不機嫌になったアル。
クラリス。
「 ごめんなさい。
 、、ねぇアル、おちちがピクピク動くのを見せてくれない。」
アル
「 ああ見せてやる。その両眼かっ開らいてよぉぉく見てろよっ!」
ポロシャツを脱ぎクラリスに上半身を曝け出し、
バルク・アップした大胸筋をクラリスに向け誇らしげに上下に動かしたアル。
クラリス
「 凄い。おちちがピクピク動いてる!」
アル
「 驚くのはまだ早いっ!」
クラリス
「 うわぁ!今度は右と左が別々に動いてる!」
パンプアッブされた大胸筋をクラリスに向け、
更に誇らしげに左右交互に上下に動かしているアル。
クラリス
「 面白い!触らせて。」
アル
「 あぁあ、触るがいいさね。」
己の踊る大胸筋を触らせたアル。
クラリス
「 はは!ピクピクして面白い!」
アル
「 どおだっ!」
すっかり機嫌が直ったアル。
クラリス
「 アル、あなたのMOOBS(おちち)、あたしノより大きいわ。」
アル
「 鍛えてマッスー。」
クラリス
「 お肌もツルツル。」
アル
「 毛むくじゃらじゃない。って言ったろう。」
アルの顔を見つめるクラリス。
「 、、アル、あなたの眼は、
 海のように空のようにサファイアみたいに青くて、吸い込まれそうだわ。。」
アル
「 、、クラリス…。」
自分の大胸筋を触っているクラリスの細い両の腕を、
ゴツくて大きい両の手で優しくつかんだアル。
見つめ合うクラリスとアル。長い間(ま)。
アル
「 、、、もう、帰らなきゃ。。。」
クラリス
「 、、そうね。。」
アルが言った言葉が二人の間に出来た空気を壊した。
その言葉を言わざるを得ないアル。
受け入れざるを得ないクラリス。
シングル・ペアレント同士である二人の、これが現実。

肩に担いでいた段ボール箱をダイニングテーブルに置いたアル。
デイジー
「 何処行ってたのよ。」
アル
「 !、びっくりした〜ぁ。おどかすなよ。おまえこそどっから現れたんだよ。」
音も気配も無く背後に現れいつになく低いトーンでアルに問うたデイジー。
「 来て。」
「 なんだよおい!」
アルの手を取り強引に2階へと連れて行くデイジー。
アル
「 エミリー。。。」
ベッドの中でいつも見る寝顔とは少し違う顔で眠るエミリーと、
彼女に付き添っているセシリーの姿を見て、
ただならぬ事を察し立ち尽くしているアル。
そんなアルの姿を背後から見据えているデイジー。
アル
「 何があったんだ?」
セシリー
「 エミリー、マッグレガーさんの所から帰ってきて、夕食食べた後、急に熱が出ちゃって。
 でももう大丈夫。病院で診てもらったから。」
アル
「 エミリー、、、ごめんよ、ごめんよ。。。」
床にひざまづき、ベッドで眠るエミリーを抱きしめ涙を流したアル。
廊下に出てエミリーの部屋のドアを閉じたアル。
アルの前に立っているデイジーとセシリー。
デイジー
「 エミリーはアンタの事ずっと呼んでたのよ。
 この街で暮らし始めて一番あたし達のそばに居なきゃいけない時に居なかったのよ。
 ねぇ解ってる?」
アル
「 、、すまなかった。」
デイジー
「 後頭部(あたま)の傷に賭けたあの日の誓い忘れたの?」
アル
「 …。」
デイジー
「 子供と女に夢中になってて忘れたみたいね。あたし今日見たんだから。
 フランク・ロシカと女の人と一緒に居たのを。」
アル
「 ! 」
デイジー
「 エミリーの幼稚園のアルバム見てあたしフランク・ロシカがどんな子か知ってるの。
 一緒に居た女(ひと)フランク・ロシカの母親でしょ?
 フランク・ロシカの家に行ってたんでしょ?」
アル
「 ! 」
デイジー
「 その表情(かお)、図星ね。ねぇ何やってるの!?自分の子供ほったらかして。
 ドラマの主役気取りで恋愛ごっこしてんじゃないわよ!」
アル
「 ごっこじゃない!父さんはクラリスが好きだ!フランクも好きだ! 」
セシリー
「 ! 」
デイジー
「 !?、
 何よそれ。」
アル
「 父さんが女(ひと)を好きになっちゃいけないのか?
 デイジー、おまえだって好きな奴が出来て自分でシナリオを書いて、
 歌って踊ってたじゃないか。 」
デイジー
「 あたしとアンタとじゃ立場が違う。
 母さんは?ねぇ、母さんの事は?」
アル
「 、、、母さんは、、母さんは居ない。
 この世界には、もう、、居ない……。 」
セシリー
「 ……。 」
うつむいたセシリー。
デイジー
「 !!!
 …やっぱり父さんって冷たい。だからあたし達の事放っておけるのよ。
 昔と何にも変わってない。
 あたしはまだいい。
 あたしより先に生まれたお姉ぇちゃんはその分あたしより寂しい思いしてたのよ!」
セシリー
「 …。」
アル
「 …。」
デイジー
「 ‘ この街 ’で暮らした時間だけでそれを穴埋め出来なるわけない。
 心と心が繋がってなきゃ家族じゃない。こんな家族ごっこもうイヤ!
 父親に放っておかれて、お母さんは死んじゃって、、
 こんなつらい思いする為にあたしは生まれてきたんじゃない。
 アンタの娘なんかに生まれてこなければ良かった!!!」
溢れ出した涙を拭う事もせずに走り出し階段を駆け降りたデイジー。
セシリー
「 デイジー!
 …父さん!」
階段を駆け降りるデイジーの後ろ姿に彼女の名を呼び次いで父親であるアルを見るも、
力無い眼で床を見つめ立ち尽くしている父親の姿しか視界に入ってこなかったセシリー。
セシリー
「 …。」
デイジーを追い階段を駆け降りたセシリー。
デイジーとセシリーが居なくなった二階の廊下で茫然と立ち尽くしているアル。
次いで、
太い首から提げているレザー・チョーカーの先端部分にある、
銀色のカプセル型ペンダント・ヘッドを、
着ているポロシャツの下から出し両手で握り締めたアル。
「 …ベス、やっぱり俺に父親なんて、父親役なんて無理だ。
 ベス、おまえが居てくれないと。。母親のおまえが居てくれないと。。。」
涙が溢れ出たアル。
星が輝いていないこの夜(よ)の空の下、泣きながら歩いているデイジー。
セシリー
「 デイジー!」
デイジーを探すセシリー。
アル
「 う"っ!」
突然、
血の気の無い女性の顔がフラッシュバックし、
激しい頭痛に襲われ顔を歪めたアル。
セシリー
「 デイジー!」
デイジーを探すセシリー。
苦しむアルはバランスを崩し階段を一階迄転げ落ちた。
額の左端から血を流し倒れているアル。
デイジー
「 !、
 痛い。。」
お腹を押さえながら歩いているデイジー。
セシリー
「 父さん!!しっかりして父さん!!」
アル
「 、、んん、セシリー!痛ぇ。。」
セシリーの呼び掛けと体を揺すられた事で意識が戻り、
視界にセシリーが入ると同時に体に傷みが走ったアル。
アル
「 デイジーは?」
首を静かに左右に振ったセシリー。
アル
「 父さんが行かなきゃ。」
セシリー
「 その前に傷の手当てを。」
リビングのソファーでアルの額の血を拭い消毒液を塗り絆創膏を貼ったセシリー。
アル
「 デイジーを探してくる。」
そう言ってすくっと立ち上がったアル。
セシリー
「 大丈夫?」
アル
「 ああ。セシリーが治療してくれたから大丈夫だよ。ありがとう。 体の痛みももう無い。
 父さんほら、見掛け通り頑丈だから。頑丈に産んでくれたお祖母ちゃんに感謝だ。
 後は頼む。もし何かあったら、、」
セシリー
「 解ってるから大丈夫。
 あのね、……デイジー、、生理中なの。。」
アル
「 ! 、
 ……そうだったな。。忘れちまってた。。」
セシリー
「 …。」
アル
「 なら尚更だ。行ってくる。」
セシリー
「 気を付けて父さん。お願い、デイジーを。。」
アル
「 ああ。」
セシリー
「 …。」
アルの後ろ姿を見送るセシリー。
アル
「 デイジー!何処だ?デイジー!」
一人声を上げるアル。
「 くそっ!此処じゃないのか?だってあの刻(とき)、、、」
◇アルの回想 あの刻(とき)◇
デイジー
「 父さんのバカ!」
左右の握った手でアルの胸をなぐるデイジー。
デイジー
「 バカバカバカ、、、」
そう言いながら何発も何発もアルの胸を殴るうちに
涙が流れてきたデイジーは、
アルに泣き顔を見られまいと下を向いた。
アルの胸を殴る手が止まったデイジー。
「 …初恋だったのに。。。」
そう言ったデイジーをやさしく抱きしめるアル。
アルのその分厚い体に両手を回ししがみつき、
大きなお腹に顔をうずめるデイジー。
アル
「 、、此処が、この川辺は、
 おまえが‘ この街 ’で一番好きな場所だろ?デイジー。」
アルが、
デイジーの一番好きな場所だと思っていた川辺のベンチには、
彼女はおろか誰一人として座っているモノは居ない。
いつの間にか降り出した雨が、
HILOTHGHIショッピング・モールに在るプレイ・ランドの、
照明が消え既に眠りに就いている観覧車を濡らしている。
アルよりも大きいはずの観覧車が、
公園で雨に濡れながらデイジーを探すアルの背後に小さく見えている。
公園の時計台の針は、
雨が止むのを待つ事も無くもうとっくに午前零時を過ぎた所に在り、
今日が昨日に、明日が今日に成った時の流れを、眠りに就く事も無く指し示している。
‘ この街 ’が眠りに就く中、
眠らない場所である幾多のコンビニエンス・ストアーをはしごして、
デイジーを探しまわるアル。
しかし、
この場所にも、その場所にも、どの場所にも、
デイジーは居ない。
降りしきる雨の中、もう何処を探せば良いのか判らず、
人通りの無い道端で途方にくれ雨に濡れながら独り立ち尽くしているアル。
「 あの刻(とき)あんな事言わなけりゃ、、」
◇アルの回想 あの刻(とき)◇
アル
「 おまえの方がどっか行っちまえってんだよぉ。」
「 あんたVAQA!」
そう言い残し走ってその場を立ち去ったデイジー。
「 おまえの方がVAQAだってんだよぉ。」
そう一人言ったアル。
アル
「 、、本気で言ったんじゃない。父さんの方が馬鹿だ。
 父さんの前から居なくならないでくれ。。。
 デイジーぃぃぃぃぃぃっっ!!!!」
雨雲で蔽われている夜空を仰ぎデイジーの名を叫ぶアル。
雨雲はそんなアルを天から見ているかの如く、しかしただ単に、
幾多もの大きな雨粒を、彼の大粒の涙が流れる顔面に激しく落とすだけである。

開く扉。
扉を開いたのはこの部屋の主であるパジャマ姿のクラリスだった。
クラリス
「 こんな夜中にどうしたの!?アル。それにそんなに濡れて。」
アル
「 ……正直、かなり参ってる。。」
クラリス
「 …。」
いつもは大きく見えるアルの体が、
服装もさっき別れた時のままで雨に濡れ憔悴し小さく見えたクラリス。
「 何があったの?とにかく入って。」
雨に濡れたアルを部屋へと入れるクラリス。
閉まる扉。

TO BE CONTINUED


アルは
何を欠けるのか
何を遺すのか



□ エンド・ロール □

STARRING

アル・ウェイバー( バズ・マイヤー ) : 富田耕生

セシリー・ウェイバー( エレナ・スコットフィールド ) : 坂本真綾

デイジー・ウェイバー( マイア・トンプソン ) : 大谷育江

エミリー・ウェイバー( ウェンディー・スウィックス ) : 矢島晶子

クリスティー・マッグレガー( メグミーナ・スミス ) : 豊口めぐみ

フランク・ロシカ( ジョン・アストレイ ) : 小桜エツ子

クラリス・ロシカ( スージー・アイランドブック ) : 島本須美

ケイト・リプリー( ジェイン・ウィープ ) : 戸田恵子

GUESTS

ジャクリーン・マッグレガー( ルイカ・ラヤマ ) : 藤田淑子

東洋人の老人男性( ハン・リュウミン ) : 渡辺猛

黒人少年( クブラ・ロイック ) : 高山みなみ

ビル( ジョージ・ギロロイ ) : 中田譲治

posted by 仮面ヒッシャー電脳< 俺、創造! 〕 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 第2シリーズ MYD:U −血と肉と汗と涙と−  全13話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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